【ナラティブを観察】『他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論』の書評

読書

この本を手に取った背景

会社の新規事業開発部の先輩社員に薦められて「他者と働く」を読みました。

もともと、私の仕事は既存の業務オペレーションから脱却するための変革をリードする立場です。

従って、ナラティヴアプローチを提言する宇田川先生のこの本から何か洞察を得られないか考えていました。

なぜ合意形成ができないのか?理論だけでは進まない現象について宇田川先生から見た切り口を解説しています。

こんな方にオススメ!

・新規事業開発担当で効果が出るまで時間がかかる方
・変革をリードしていく方で社内外との調整が多い方
・現場目線で仕事を進めていくことに価値を置いている方

本の概要

あらすじ

本書は主に組織開発のアプローチです。

ただの組織開発論というよりは、その組織開発論がうまく行かない理由を解説しています。

うまく行かない理由として本書では適応課題と技術課題に問題を分けています。

その中でも、特に難しい適応課題について本書では解説しています。

適応課題は解決する問題が明確になっていない、つまり「何が問題なのかわからない」状態のため、まずはそれぞれの立場から考えた現状把握が必要です。

それをこの本では「ナラティヴ」と語っており、相手の「ナラティヴ」を観察する行為を重要視しています。

よくある事例として、お互いの立場で物事を進めていくと、折衷案という形で妥協しがちになります。

宇田川先生の考え方では、「妥協」ではなく「橋をかける」プロセスへ議論を移行していく必要があります。従って、本書ではどんな落とし穴を避けて進めるべきかを説明しています。

タイトル: 他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論
著者: 宇田川 元一
出版社: ニューズピックス (2019/10/2)
推定ページ数: 176 ページ
読書にかかる時間:約2〜3時間(図で解説しているため読みやすいです)

著者について

宇田川元一(ウダガワ モトカズ)先生。埼玉大学経済経営系大学院准教授。

専門は経営戦略論、組織論。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。

Newspicksでもよく寄稿しており、本書はNewspicksパブリッシングから出版されています。

読了後の感想

「他者と働く」を読んで特に目からウロコだったのは「対話」しているつもりでも、それは対話になっていないケースがあるということでした。

相手のナラティヴを理解して、自分自身は議論の橋架けに徹している場合でも、落とし穴があるということでした。

本書ではその落とし穴について以下の5つにまとめていました。

対話をしている中で陥りやすい罠

1.気づくと迎合になっている

2.相手への押しつけになっている

3.相手と馴れ合いになる

4.他の集団から孤立する

5.結果が出ずに徒労感に支配される

これらの落とし穴を事前に理解しておくことで、自分自身が元々提唱していた意見や、今の立場から見た考え方について、一貫した姿勢を貫くことができると考えています。

私の経験を踏まえると、現場経験も多く、そこで汗水流して働いている方々の気持ちもよく理解できてしまうので、思わず感情移入してしまう場合があります。

本書では、対話と迎合は異なるという見方を示しているように、元々の自分の考え方や立場を守ることも重要視しています。

つまり、忖度とも受け取れるやり方になってしまうのではなく、共通の目的を果たすため「連帯感」を高めていく必要があります。

時には論理だけではなく、「ビジョン」や「ストーリー」を相手に訴えることで、共感してもらえるように道筋を立てていく必要があると言えます。

困難な合意形成を達成していくための推進力として「ナラティヴ」を理解し、自らの文脈に当てはめることで、賛同を集めていく源になると本書を読んで考察しました。

以上

この記事を書いた人
のはら家夫婦

都内から地方移住した「のはら家夫婦」です。夫はアメリカでMBAを取得し、妻は人事畑の出身です。元々は国内外含め大の旅行好きですが、コロナの影響もあり最近は自宅生活を充実させることに必死です。夫婦で今までできなかった様々なこと(趣味、副業、資産形成、暮らしのアップデートなど)にチャレンジします!私たちだけではなく皆さんのタメになる情報も提供していきます!よければSNSフォローしてください!

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